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​第38回学級経営実践セミナー(愛知)
「子どもとの信頼関係を”再編”する」
​実施報告

1 開催趣旨

「今の子は」「現代っ子は」。

令和に入り、コロナ禍を経た今、この時代を生きる子どもたちを、私たちはついそんな言葉でまとめて捉えてしまいがちです。ゲームやスマホ、YouTubeに夢中。何かとすぐに文句を言ってしまう。打たれ弱く、他者との関わりが苦手。ネットで見た言葉をよく使い、自己主張は強いが調整は苦手。外で遊ぶ時間が減り、どこかたくましさが感じられない。このように、今の子”への関わりの難しさを耳にすることは少なくありません。

しかし、単に「一人ひとりに合った指導」を心がければよい、というものでもありません。例えば、「その子に合わせた指導」が、「あの子には許されるのに、どうして自分はだめなの?」という二重規範を生むこともあります。多様な子どもたちを包み込みながら育てることは、決して一筋縄ではいかないのです。

この複雑な指導を成り立たせるうえで欠かせないのが、子どもとの信頼関係です。

「先生が言うなら、それはきっと自分のためになるんだろう」

「あの先生があんなに真剣に言うなら、仕方ないな」

そんなふうに思ってもらえる“しなやかな関係”を、今を生きる子どもたちとどう紡ぐのかよいう視点から、教室での信頼関係のあり方を見つめ直し、子どもとの関係づくりに対する自らの考えを「再編」する機会としました。

 

2 日時

令和7年10月25日(日)13:10~16:50

 

3 会場

パルティせと 4F アリーナ 〒489-0044 愛知県瀬戸市栄町45

 

4 参加者

55名 登壇者6名 参加理事1名  計62名

 

5 プログラム

1300  受付 

1310  開会あいさつ、基調提案 「信頼関係について考えるための二つのキーワード」(佐橋、深見)

1330 「引き上げ」「養い」の視点からみたそれぞれの学級経営 

発表① 水流卓哉

発表② 佐橋慶彦

      発表③ 一尾茂疋・安土満里奈

1430  休憩

1445  実践発表 二部屋に分かれて6名の実施

1535  それぞれの学級の信頼関係を考える「先生のクラス会議」深見太一

1605  赤坂真二先生講座

1625  鼎談 弓削洋子×赤坂真二×佐橋慶彦

1650  クロージング

 

6 当日の様子

本セミナーは、「子どもとの信頼関係を“再編”する」をテーマに、弓削洋子氏の「引き上げ」と「養い」の理論を軸に据え、学級経営における信頼関係の再構築を探ることを目的として開催されました。また、研究と実践を往還する充実したプログラムにより、参加者からは「理論が日常実践と結びついた」「自分の指導観を再構成する契機となった」といった声が寄せられました。

 

赤坂真二先生の講演を通して、「引き上げ」と「養い」という二つの指導行動が、子どもとの信頼関係をいかに支えているかを学ぶことができました。特に、「信頼関係を構成する要因」や「人間関係づくりの先にあるのは“幸福感”である」という視点、「その実現には主体性・自己決定が不可欠である」という整理が分かりやすかった、納得できたという声がありました。

各実践発表では、教育現場での具体的な手立てに加え、背後にある研究的視点やエビデンスが示されました。参加者からは「教師としての専門性をアップデートできた」「実践と理論の接続点が見えた」との声が寄せられました。また、登壇者からは「発表をまとめる過程が一番の学びになった」という声が複数寄せられ、実践共有のプロセス自体が教師の自己省察を促す機会となっていたことが感じられました。

また、後半の鼎談では、理論と実践の往還が具体的に示されました。「引き上げ機能」と「養い機能」はいずれも欠かすことのできないものであり、また「両機能のバランスは重要であるが、それは指導場面によって異なるため、その都度、最適な関わり方を模索し続けることが大切である」こと、さらに「その探究の過程を支えるのは、教師同士や子どもとの対話である」という点についても、改めて確認する機会となりました。

参加者の方々からは「まずは耳を傾けることから始めたい」「学術的根拠をもって職場課題に向き合いたい」など、具体的な行動への決意が示されました。また、「次年度は実践を発表してみたい」といったご意見も多数寄せられました。

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