実施報告
第43回学級経営実践セミナー(兵庫)
「学級経営とは」を研究の視点から見直す
1 テーマ
「学級経営とは」を研究の視点から見直す
2 概要
(1) 日時 2026年8月2日(日)12:00~17:00
(2) 会場 兵庫大学サテライトキャンパス(東加古川駅南 モリタトレードビル3F)
〒675-0101 兵庫県加古川市平岡町新在家2丁目273-2
(3) 参加者数 44人(内登壇者5人,スタッフ2人)
(4) プログラム
12:30 受付開始
13:00 開会あいさつ・学習会の趣旨 岡田広示(兵庫大学)
13:10 発表ⅰ 川上健治;明石市立高丘西小学校
13:40 発表ⅱ 小野良一;奈良市立小学校
休憩14:10~14:25
14:25 発表ⅲ 高本英樹;岡山県公立小学校長
14:55 発表ⅳ 藤本若菜:兵庫大学短期大学部保育科
休憩 15:20~15:30
15:35 発表者4人とフロア参加者による協議
16:05 学習会総括 赤坂先生;上越教育大学大学院
16:35 クロースセッション
3 発表の概要
・ 岡田広示氏
日本学級経営学会の研究430件を分析し、関係性、教師の見取り、自治を中核に、包摂や学校組織へ展開してきた過程を示し、学級経営学を教室の日常に根ざす実践科学として解説した。
・ 川上健治氏
児童が他者や集団との関係の中で安心して関わり、自己を表現しながら自律的に行動できる「ウェルビーイングの素地」を育むことをねらった実践である。学級コーディネーター制を基盤に、教科授業・学級活動・日常生活を「フェアな指導過程」でつなぎ、参加機会や少数意見を保障するなど学級単位から学年単位へと関係を広げ、複数の教師が児童を継続的、多面的に支える学級経営を発表した。
・ 小野領一氏
教師が学習環境を整え、子ども自身が見通しをもち、学び方を選択して実行し、振り返りを次の行動につなげる授業実践である。振り返りを5段階で評価し、フ ィードバックを重ねながら、5月・9月・2月の算数授業における記述を比較した。学習量や結果だけでなく、苦手の把握、学び方の工夫、友達との協働、次時の目標へと記述が深まり、自己調整能力が育つ過程を検証した。
・ 高本英樹氏
教師との関係、子ども同士の関係、ルールづくり、意欲・自主性、学び合い、自治的活動の6観点から、学級の実態、目指す姿、具体的な手立てを学級経営案に示した。学期末には30の行動指標を用いて教師の自己評価と児童アンケートを比較し、成果や認識のずれを分析した。さらに教員同士の協議を通して手立てを検証し、次学期の学級経営案を修正することで、計画・実践・評価・改善を循環させる取組である。
・ 藤本若菜氏
幼児教育と小学校教育の方法や学びの質の違いを理解した上で、両者の共通点を見いだし、滑らかな接続を実現することを提案した。幼児教育では遊びと環境を通して資質・能力を総合的に育み、小学校では教科の目標に沿って学習を進める。単なる交流活動にとどまら ず、互いの保育・授業を見合い、「意欲」や「自立」など地域で育てたい子どもの姿を共有することが重要であることを示した。
・ 赤坂真二氏
4者の発表内容を発展させるために必要な視点を学級に関する研究の分類図やアカデミックスキルなどの立場から解説した。さらに各発表内容の中から「環境」や「接続」「リフレクション」などを解説した。
4 アンケート結果より(n=32)
① 総合満足度をお聞かせください。
1とても満足(23) 2概ね満足(8) 3満足(0) 4やや満足ではない(1) 5満足ではない(0)
② 本日の発表内容でよかったと思うことを教えてください。
各グループに分かれて話し合う時間があったことで、より細部の話ができてとてもよかった。みなさんの発表は、それぞれの立場での研究でありいろいろな見方から学級経営を考えられたことが良かった。
それぞれの発表を聞かせていただき大変勉強になりました。特に学校全体で学級経営について考えておられるということで、どの視点から子どもたちの様子をみとっているのか明示することで職員間の認識を図ることができると感じました。
学級経営について様々な角度からの研究があり勉強になりました。やはり教育のベースは学級経営ですね。
教師がルールを押し付けるのではなく自分たちの手でできたという成功体験が大切だということや教育の主語を「子ども」にするということ「意図」した「遊び」をさせるということ、様々なことを学ぶことができてよかったです。
幼児教育の先生のお話が聞けたのがとても勉強になりました。校長先生の実践がすごいです。全国みんなこんな校長先生だったらいいのに。
③ 今後,学級経営に関して取り組みたいこと,感想等あればお書きください。
今回のキーワードとして「省察」があげられると思います。自身の研究にも重なるところもあり、現在の教育活動において「省察」「リフレクション」「ふりかえり」派とて大きなウエイトを占めているのだと認識しました。学校経営、学級経営にこの省察をどう組み込んでいくのかを今後も考えたいと思いました。
今回初めて学習会に参加させていただいて子どもを「統制・管理」するのではなく、どう子どもの姿を見取り見立てて関わっていくのかを考えさせられる機会となりました。また学級経営には自分(個人)一人というものだと思っていた部分がありましたが学級経営を見る目というのは子どもや周囲の教員さまざまな知見などが複雑に絡み合っているので はないかと思いました。現場に戻った際、環境とデザインできるような教員でありたいと強く思いました。
わたしはこれまで教職の授業で「教師が子どもに身を付けさせる」授業を学んできましたが大切なのは主人公は子どもだということ「子どもの姿」だということを学びました。また「仲の良い子」はいるけれど「みんなが関われる」クラスを作るために週一で席替えをしているというお話を実践してみたいと感じました。集団を動かす技術ではなく子どもの関係づくりをする学級経営をしていきたいです。
はじめの基調提案での学級経営学の整理、指針から始まり幼児教育の子どもの見方まで盛りだくさんで自分の視野の狭さに気付きました。すべての発表を聞いた後に基調提案になった学級経営学の視点で自分の興味は子どもの関係性なのだと確認できました。研究大会で発表にチャレンジしてみたいです。
研究されている方は仕事で大変な中、すごいと思います。自分は今のキャリアや学校・学級の様子を思い浮かべながら話を聞きました。3月も楽しみです。