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​第37回学級経営実践セミナー(仙台)
リレーションシップを考える~関係性を向上させるために必要なことは?~
​実施報告

1 開催趣旨

教育の現場において、人との関係づくりは子ども同士、そして教職員同士にも深く関わる大切なテーマです。本セミナーでは、「リレーションシップ」を軸に、学級・職員集団それぞれの人間関係のあり方について、具体と対話を通じて学び合いました。

「リレーションシップ(関係性)」を改めて見つめ直し、より良い人間関係を築くためのヒントや実践を考えました。

 

2 日時

  令和7年9月7日(日)9:30~14:55

 

3 会場

  トークネットホール仙台(仙台市民会館)第2会議室

  宮城県仙台市青葉区桜ケ岡公園4−1

 

4 参加者数 17名+実践発表2名+学会理事1名

 

5 プログラム

9:30 開場・受付

9:45 オープニング・本セミナーのガイダンス「学びへチェックイン」

【第1部 学級集団における人間関係づくり~子ども同士を結びつける具体~】

10:00~10:20 提案① 伊藤浩也(宮城県公立小学校)

10:20~10:40 リフレクション 伊藤浩也×安彦俊宏×赤坂真二

10:40~10:50 休憩

【第2部 学級集団の関係をよりよくしていくためには?】

10:50~11:30 フロア交流

11:30~12:45 昼食休憩

【第3部 職員集団における人間関係づくり~同僚性を高める具体~】

12:45~13:05 提案② 安彦俊宏(宮城県公立小学校)

13:05~13:25リフレクション 安彦俊宏×伊藤浩也×赤坂真二

13:25~13:30 休憩

【第4部 職員集団の関係の向上を目指して 】

13:30~14:10 フロア交流

14:10~14:20 休憩

【第5部 人間関係づくりの先にあるもの】

14:20~14:40 講演 赤坂真二(上越教育大学大学院)

14:40~14:55 アンケート記入・クロージング

 

6 当日の様子

本研修会は、「リレーションシップ(関係性)」を軸に、学級集団と職員集団の人間関係づくりに焦点を当てました。参加者からは、単なる知識の獲得に留まらず、自身の学校生活や教員としての在り方を深く内省する「理論と実践の往還」を実感できたという声が多数寄せられました。

 

(1)学びの内容

テーマ設定の明確さ

「人間関係づくりの先にあるもの」として「幸福感」という明確な答えと、そのための「主体性」や「自己決定」の重要性が、赤坂真二先生の講演や全体を通して「落ちた(腹落ちした)」と参加者からの声がありました。

 

理論と実践の接続

伊藤浩也先生、安彦俊宏先生の実践発表が「明日から使える」具体的な手立てでありながら、その背後にある研究的な視点や学術的根拠(エビデンス)が示されたことで、「なんとなくの経験則」から脱却し、専門職としての教師のアップデートにつながるとの学びがありました。

 

フロア交流の充実

プログラムにフロア交流(対話・ワークショップ)が長く確保されていたことで、「これまでの経験などを振り返ることができ、新たな視点も得ることができた」や、「自分の主体的を感じ承認を得ながら学べた」といった、相互の気づきと自己内省が促進されたとの感想が複数見られました。

 

参加者層の広がり

現職教員だけでなく、大学院生や研究者も参加し、「教師との信頼関係、児童間の人間関係視点が欠落していた」といった校内研修の課題に直面している現場の切実な声も共有されました。

 

(2)人間関係の二側面(学級・職員集団)への気づき

職員集団の課題と解決の糸口

「静かな覇権争い」といった職員室の課題が指摘される一方で、「教師同士も意図的に結びつけていく必要がある」という安彦先生の実践から、単に仲良くするのではなく、「互いの強みをリスペクトし合う」同僚性の具体を学ぶことができました。

 

影響の構造の理解

「安定的で豊かな学校組織をベースとして、その上に教師や子どもの関係、そして子ども同士の関係が成立していく」という構造的な理解が進み、「先生同士がつながることと先生と子どもがつながることが大事」という「うすうす思っていたことの答え合わせができた」という声もありました。

 

日常の言動の重要性

職員室内での対話や雑談といった何気ない場面が、風通しを良くし、最終的に子どもたちにまで還元されることを学び、職場で子どもたちのことを語り合える場面を増やしたいという意欲につながりました。

 

(3)今後の実践に向けた意欲

前向きな意識改革

「私たちは幸せになるために生きている」という前提のもと、「正直、今の職場を諦めていたが、自分らしく楽しくやっていきたい」という前向きな姿勢が見られました。

 

具体的な行動への決意

「まずは耳を傾けたい」という自己の行動変容への決意や、学術的根拠をもって職場の課題に臨みたいという意欲、「今回の学びを職場で広めたい」という伝達への使命感などが語られました。

 

エネルギーの交換

「エネルギーのある方々の話を聞くと、こちら(受け手)のやる気も喚起される」と感じられ、セミナー会場そのものが「リレーションシップの空気感に満ち溢れた場」であったという評価もありました。

 

全体として、参加者は「リレーションシップ」が「主体性」「幸福感」「学力向上」へとつながる不可欠な要素であることを深く理解し、明日からの学校生活をより良くするための具体的な視点と強いエネルギーを得て、研修を終えることができました。

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