第29回学級経営実践セミナー(仙台)
「個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには?」
実施報告
1 開催趣旨
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個別最適な学びや協働的な学びの光景が教室で日常的に見られているか?
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一体、個別最適な学びと協働的な学びとは何なのか?
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授業でどのように取り組ませ、働きかけるのか。また、学校生活のどの場面で見られるものなのか。さらに、単なる授業の方法にとどまらず、子ども自身が学びに対する意欲を高めたり、子ども同士の結びつきによって学び方が加速したりすることも考えられるのではないか。
本セミナーでは、現場での実践を共有することで、参加者の「具体像」が広まってほしいと考え、このようにテーマを設定しました。また、本学会は、「実践と理論の往還」を目指しています。実践を共有しつつ、研究的視点からも個別最適や協働的な学びについて迫っていきたいと思います。
本セミナーに参加したみなさんと学び合い、教師の指導観をそれぞれの立場に応じてアップデートできることを願い企画しました。
2 日時
2024年11月30日(土) 12:55~16:55(受付12:40)
3 会場
東北学院大学五橋キャンパス講義棟L605
宮城県仙台市若林区清水小路3-1
4 参加者数 12名+実践発表3名+学会理事2名
5 プログラム
12:40 開場/受付
12:55 オープニング・趣旨説明
【第1部 授業における個別最適な学び×協働的な学び】
13:00~13:20 実践的視点から 小島貴之(東京都公立小学校)
13:20~13:40 研究的視点から 阿部隆幸(上越教育大学)
13:40~14:00 リフレクション1 小島貴之×阿部隆幸×松下崇
14:00~14:10 休憩
【第2部 学級集団づくりにおける個別最適な学び×協働的な学び】
14:10~14:30 実践的視点から 早坂稚子(宮城県公立小学校)
14:30~14:50 研究的視点から 松下崇(学級経営学会理事)
14:50~15:10リフレクション2 早坂稚子×阿部隆幸×松下崇
15:10~15:20 休憩
【第3部 校内研修の充実による個別最適な学び×協働的な学び】
15:20~15:40 実践的視点から 安彦俊宏(宮城県公立小学校)
15:40~16:00 リフレクション3 安彦俊宏×阿部隆幸×松下崇
【第4部 個別最適な学び×協働的な学びを実現するためには?】
16:05~16:45 参加者交流
16:45~16:55 アンケート記入・クロージング
6 当日の様子
(1) 個別最適な学びに対する多様な解釈と実践への課題
参加者からは、個別最適な学びに対する様々な解釈が見られました。単に生徒一人ひとりに合った学習を提供するだけでなく、生徒の主体性や協働的な学びとの関係性、そして学級経営との連携など、多角的な視点からの議論が活発に行われたことが伺えます。一方で、実践においては、一斉授業とのバランスや、ICTの活用、評価の方法など、多くの課題を抱えていることも明らかになりました。
(2) 教師の役割と意識の重要性
教師の役割は、単に知識を教えるだけでなく、子どもをよく観察し、個々の成長を促すことが求められているという共通認識が見られます。また、教師自身の意識改革も重要であり、子どもの主体性を尊重し、協働的な学習環境を創出することが求められていることが共有されました。
(3) 学級経営と個別最適な学びの連携
個別最適な学びを実現するためには、学級経営との連携が不可欠であるという意見が多く見られました。子ども同士の良好な人間関係を築き、安心して学べる雰囲気作りが、個々の学びを深める上で重要な要素であることが指摘されています。
(4) 実践と理論のギャップと今後の展望
参加者の中には、理論と実践のギャップに悩んでいる人もいる一方で、今回のセミナーで得た知識を今後の実践に活かしたいという意欲も強く感じられます。特に、パフォーマンス課題やクリティカルシンキングなど、より深い学びにつながる具体的な実践例に関心が集まっていました。